パリ『襖展』 [前編] 

2025年2月、全国襖工業会はフランス・パリにて襖展「 Fusuma ~ à la croisée de l’art et de l’artisanat (日本語名:襖 アートとクラフトの交差点)」を開催しました。本号では襖展のご報告と、展示期間中に同時開催した講演会とワークショップのご報告をさせて頂きます。ぜひ最後までお楽しみください。

□  開催の経緯

ハリマ産業では2021年の年末から海外展開プロジェクトをスタートしており、挑戦の地をフランス・パリに定めて活動してきました。その奮闘劇は前号までのニュースレターでご紹介させて頂きましたので、ご存知の方も多いかも知れません。2023年6月(第1回目の渡仏)、トイレを借りるついでの見学としてパリ日本文化会館を訪問したのが、本展示会に至るきっかけでした。

ちょうどその時期、パリ日本文化会館の地上階では「寅さん展」が開催されていました。装飾として置かれていた粗悪な障子を見て、「これが日本の建具だと思われた大変だ!」と感じた社長大久保は、同行して下さった中小機構のアドバイザーの協力を得て館の担当者に直談判。申込手続きの案内を頂くところまでなんとか漕ぎ着けたのでした。襖の未来を諦めないと決め、遥々フランスにまでやって来た大久保にとってはまさに千載一遇。逃せないチャンスでした。帰国後、パリ日本文化会館から申込書や案内書が送られてきました。そこで初めて主催者は公的団体である必要があると知り、瞬間的に全国襖工業会が頭に浮かびました。これは襖を世界に発信できる大チャンス。実現できるならハリマ産業の名義でなくても構わなかったのです。しかし、会の協力を得るのは容易ではないだろうと、このときは随分悩みました。会場であるパリ日本文化会館は公の施設であり、ここで販売活動はできません。見本市ではなく、あくまで文化交流を目的とした展示会・展覧会である必要があります。

商売にならないものに費用を投じることになるわけです。さらに問題なのはハリマ産業の立ち位置です。ハリマ産業の海外展開は周知されていましたので、パリ展示会がハリマ産業にとって有益な取り組みであることは誰にでも想像がつきます。しかし、他の会社たちにとってはどうでしょうか?「襖の未来」というだけで賛同するほど甘い状況ではありません。徹底的に反対されることも覚悟しました。ハリマ産業の身勝手さを工業会はどのように見るのかが最大の懸念でした。

先行き不透明ななか、展示会を開催するつもりになって改めて物事を整理してみると、ヒト・モノ・カネの全てが不足していることが徐々に明らかとなりました。正直に言うと、この頃のハリマ産業の社内は海外展開そのものに懐疑的でした。社長と社員1~2人だけの密かな事業になっており、憂鬱な季節だったと言えるでしょう。しかしどうしても諦めきれず、工業会より先に北九州市の濵田社長(株式会社ハマライン)に思い切って相談をしました。2023年11月のことです。濵田社長とは先代の頃からのお付き合いです。お人柄だけでなく、技術や知識においてもパリ展示会の成功には不可欠な存在でした。最初は驚かれていましたが、「現地を一度見る必要がある」と、翌年1月の弊社2回目の渡仏に同行して独自に現地視察をして下さいました。この日から展示物の製作・梱包・輸送などあらゆる実務を担当・監督してくださり、運営に多大なご協力を頂くことになりました。展示会の目玉の1つとなった「組み立て式和室」は濵田社長の立案で、設計から施工まで一貫してハマライン社で行って頂きました。大変好評で、展示会を取り上げたメディアの中には襖ではなく、和室の写真をメインに掲げるところもありました。ハリマ産業では絶対に成し得ないことでした。ありがとうございました。

2024年3月、品川で行われた全国襖工業会の会合にてパリ展示会の構想を公にさせて頂きました。工業会メンバーたちの反応は想像していたよりも明るく前向きなものでした。それぞれ思うところは沢山あったものと思いますが、全国襖工業会で展示会を開催することを快諾して頂きました。しかしこの後、少し怖くなりました。濵田社長はじめ、この時代まで生き残ってきた襖メーカー・部材メーカーは間違いなく強者です。パリの展示会で多くのヒントを得、彼らこそが世界に襖を売っていく可能性も大いにあるわけです。改めて工業会のメンバーは仲間でありライバルであることを思い知りました。同時に、この仲間たちとパリという世界一の町で襖展が出来ることを誇らしく思いました。千利休による改革以来、おそらく襖史としては400年ぶりの「一歩」であったと思っております。

続きは「パリ襖展 後編」をご覧ください。

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ハリマ産業株式会社は襖・障子・室内ドア(木製建具)の製造、販売、取付工事を行う会社です。新築向け、リフォーム向けの両方に対応しており、大手ハウスメーカー様や地域の畳店様など幅広い住宅関連業者様からご注文を頂いております。最低ご注文本数は「1本」ですが、張替や部材交換など既存建具のリフォームも承っております。 一襖屋として、日本が誇る住宅文化「和室」を後世に遺すお手伝いが出来ればと願っております。皆様からのご注文、心よりお待ちしております。※ハリマ産業株式会社は業者間取引のみを行う専門業者です。

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