東京松屋 見本帖『江戸からかみ 総合集』に託す未来

2021年 ハリマニュース第15号 江戸からかみ総合集

2021年7月、襖紙 見本帖『江戸からかみ 総合集』(株式会社東京松屋)が発売されました。

『江戸からかみ 総合集』は見本帖の域を超えてもはや美術本のような仕上がりです。弊社は襖屋としてこれまで沢山の見本帖を取り扱ってきましたが、これほどまでに示唆に富む芸術的な見本帖には出会ったことがありません。発行元である東京松屋様がどのような意図でこれほど大掛かりな見本帖の制作に取り組まれたのか、本号でご紹介したいと思います。

「江戸からかみ」とは、和紙に様々な装飾を施してつくられた工芸品です。木版手摺りを行う唐紙師、渋型紙を用いる更紗師、金銀の箔や砂子を使って砂子絵を描く砂子師、これら三つの加飾技法をもって「江戸からかみ」と呼びます。紙に加飾をするという文化は平安時代にまで遡り、仏教の経典に金銀箔砂子で加飾したものと、詠草料紙を加飾したものとの2つのルーツがあります。江戸時代になると需要が大きくなり、「享保千型」と呼ばれるほどに多くの文様が生み出されました。そのデザインの中には誰でも一度は目にしたことのある柄が多々あります。

2021年 ハリマニュース第15号 加飾技法、版木

東京松屋様の創業は1690年(元禄)。江戸からかみと共に300年以上もの長い歴史を歩まれてきました。この度発表された『江戸からかみ総合集』の素晴らしさは、古き良きデザインへの回帰という単純なものではありません。長い歴史と実績に裏付けられた東京松屋様の深い見識から生まれる「新しい見本帖」であると同時に、300余年の歴史の最先端を走るものです。収録されているすべての紙が「選ばれたもの」であり、日本文化を静かに象徴しています。現代しか知らない弊社のような襖屋をはじめ、和室というものを実はよく知らない住宅関連業の人々にとっては教科書のような側面もあります。今の住宅業界の中に和室のことが解る人間がどれほどいるでしょうか?自分の仕事はわかっていても、全体を理解してコーディネートできる人がいないと言った方が正しいかも知れません。東京松屋様による『江戸からかみ総合集』への取り組みは、業界として高く評価すべきものではないかと感じました。折に触れて少しずつでもご紹介させて頂ければと思っております。とても素敵な見本帖です。襖に興味がない方であっても、美術本として、大人の教養としてお楽しみ頂けるものです。一般の方にはWEBカタログをお勧めいたします。是非ご覧ください。

「江戸からかみ」は平成4年に東京都の伝統工芸品の指定、平成11年に経済産業大臣により国の伝統的工芸品の指定、平成19年には地域団体商標を取得されています。

2021年 ハリマニュース第15号 江戸からかみ総合集

最後になりましたが、この度『江戸からかみ総合集』の取材に ご協力頂きました、株式会社東京松屋 代表取締役社長 第18代 伴 利兵衛(充弘) 様に厚く御礼申し上げます。


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