前号(vol.14)でハリマ産業の本社工場の外壁材が赤泥であることをご紹介いたしました。本号では赤泥の環境問題とハリマ産業のものづくりについて、少しお話しをさせて頂きたく思います。
赤泥とは、アルミを精製する工程で発生するもので、世界的に処理に困っている廃棄物の一つです。先代の大久保敏行は、赤泥の環境問題に触れたことで自社の製品である「ダンボール製ふすま」(当時 )を見つめ直し、「和襖(木製の襖)」への大転換を決意したのでした。
ダンボール製のふすまは、その製造過程で環境負荷のかかる材料が使われており、和襖の方が環境に優しいと考えたようです。志は良いとしても、ダンボール製と和襖では製造工程も材料も全く異なるため、機械の入れ替えから材料選定まで、それはそれは大変な道のりだったようです。
ハリマ産業では地球環境を思う気持ち一つでダンボール製から和襖に大転換することになりましたが、当時、他のメーカーでも様々な事由によってこの大転換が行われていました。それは主に、和襖からダンボール製への大転換であり、ダンボール製から和襖に転換したのはハリマ産業一社だけでした。つまるところ、ダンボール製の方が生産効率や利益率が良かったのでしょう…。
結果として、志一つで突き進んだ先代の決断は英断でした。それはハリマ産業から襖を買ってくださるお客様方が証明してくれています。やはり、環境について考えるということは色々な意味で必要なことなのでしょう。